再エネに関連した環境価値と法規制との関係
再エネに関連した環境価値と法規制との関係
(出所:経済産業省)
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 楽天と、グローバルエンジニアリング(福岡市)は3月27日、「環境価値」と「ネガワット」の私設取引プラットフォームを共同で創設することで合意したと発表した。

 今回の合意に基づき、両社は今秋に「J-クレジット」、「排出権(排出量)」、「非化石証書」などの「環境価値」や「ネガワット」を取引するための私設取引プラットフォームを国内で初めて創設する。

 「J-クレジット」についてはプラットフォーム創設に先行し、3月27日から楽天のウェブサイトにおいて購入や売却の希望者に対し取引仲介サービスを開始した。

 これにより、各取引におけるオープンな価格設定を実現し、環境価値取引などの活性化を促す。取引を通じて再生可能エネルギーや省エネルギー分野への資金流入が活発化し、投資拡大や革新技術の促進に貢献できるとみている。

 2016年にパリ協定が発効し、世界的に温暖化対策を強化する機運が高まっている。日本でもJ-クレジットや排出権(排出量)など、環境価値の購入によって大手企業が自社からの温室効果ガス排出量をオフセットしたり、小売電気事業者が排出係数を低減したりするなどの動きが出ている(関連記事1)(関連記事2)。

 現在、固定価格買取制度(FIT)を利用した再エネに関しては、「FIT電気」として環境価値は全電力利用者に帰属している。そのため、環境価値自体の流通性が埋没している。だが、電力システム改革のなかで、FIT電気の環境価値を「非化石証書」として顕在化する仕組みが検討されている。

 また、今後さらにFIT価格が低下していけば、再エネ発電事業者のなかには、FITを活用せず、電力小売事業者や電力需要家に対し、再エネ電力とその環境価値を直接、販売する動きが出てくると予想される。

 欧米先進企業は、再エネ電力の購入契約や環境価値の購入によって、電力需要の多くを再エネで賄うことを目指しており、再エネ電力やその環境価値をさまざま形で取引する仕組みが整備されつつある。楽天とグローバルエンジニアリングは、こうした動きが国内にも波及することを睨んでいる(関連記事)。

■変更履歴
3段落目で23日としていましたが,27日です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/3/31]