籾殻を活用したバイオマスガス化発電プラント
籾殻を活用したバイオマスガス化発電プラント
(出所:ヤンマー)
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精米所内におけるプロセス
精米所内におけるプロセス
(出所:ヤンマー)
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 ヤンマー(大阪市北区)は3月23日、ミャンマーにおいて、バイオマスガス化発電の実証プラントを竣工したと発表した。籾殻を活用したものとして、同国では最大規模となる。

 出力は、通常時は300kWで、最大時で500kWとなっている。同日に本格的な稼動を開始し、分散型電源としての活用を2018年3月までの期間で実証する。

 首都ネピドーのMezligon Villageに立地する現地の企業、MAPCO(Myanmar Agribusiness Public Corporation)社の精米所内に設置した。精米所では、毎年大量に籾殻が発生する。この籾殻を活用する。

 現地で栽培・収穫された米の籾殻を、ガス化発電の燃料に使うことで、精米施設の稼働に必要な電力を全量、供給できるという。

 発電設備には、コージェネレーション(熱電併給)システムを採用しており、排熱を利用した熱供給にも取り組む。

 発電のプロセスは、精米所で発生した籾殻(1日あたり約20t)を貯蓄ホッパーに送り、発電プラント内の炉でガス化する。このガスをフィルターなどで精製・冷却し、コージェネの燃料として使う。発電電力は、精米設備に供給する。

 発電時に生じた排熱は、籾の乾燥に使う。

 また、籾殻の燃焼時により、籾殻チャー(残渣)が排出される。この残渣は、肥料となる成分を含んでおり、農地に還元する。これも、資源循環型の農業に寄与する。

 排水処理試験も実施し、環境に配慮したシステムを確立する。

 今回の実証試験の成果を生かし、将来的には電力供給の不安定なミャンマーをはじめとする東南アジア各国に、バイオマスガス化発電システムを拡販していく。

 ヤンマーは2017年2月、ヤンゴン(ティラワ経済特区)に現地法人であるヤンマーミャンマーを設立した。ミャンマーの農業の機械化に寄与する目的としている。今回の籾殻によるバイオマスガス化発電なども含め、ミャンマーにおいて、農業から一貫した資源循環型の食糧サプライチェーンの構築を目指すという。

 今回の実証事業は、環境省の「途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業」の支援を受けて実施している。