情報通信研究機構(NICT)とNTT東日本 千葉支店は2016年3月24日、千葉県香取郡の神崎町社会福祉協議会が主催する地域認知症ケアコミュニティー事業「みまもり声かけ体験」において、920GHz帯無線通信のWi-SUNを活用した認知症高齢者などを見守るシステムの実証試験を同年3月27日に実施すると発表した。

実証試験のイメージ
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実証試験のイメージ
Wi-SUNを使った高齢者見守りシステムの構成
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Wi-SUNを使った高齢者見守りシステムの構成

 今回の実証では、徘徊高齢者役に小型のWi-SUNタグを持たせる。このタグが発信する電波(Wi-SUNビーコン)を町中に配置したWi-SUNルーターで検知することで、徘徊高齢者役の位置を把握したり、徘徊高齢者役と遭遇する可能性が高い捜索協力者役のスマートフォンに捜索協力依頼情報を通知したりできる。見守りシステムを用いて徘徊の可能性がある認知症高齢者への声かけや、認知症のある人と接するときの「気付き」を学ぶとともに、「声かけ」に至るプロセスで行方不明者の早期発見ができるかを検証するとしている。

実証試験で使用するWi-SUNルーター(右)とWi-SUNタグ(左)
実証試験で使用するWi-SUNルーター(右)とWi-SUNタグ(左)
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Wi-SUNビーコンのデータ構造
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Wi-SUNビーコンのデータ構造

 Wi-SUNタグが発信するWi-SUNビーコンは、デバイスが属するネットワークを識別するための情報(PAN-ID)とデバイスの識別情報が含まれており、基本的にはそれら以外のデータを持たない非常に短い無線信号だ(通常の無線データパケットの100分の1程度)。このため1回の送信時間が極めて短く、電池駆動で長期間の連続動作が可能である。連続稼働時間はWi-SUNビーコンの送信間隔によるが、乾電池であれば数年間、ボタン電池でも数か月レベルの稼働が期待できるという。