IT企業の米Googleと自動車メーカーの対決という構図が出来つつある自動運転車の世界。しかし世界を見渡せば、この分野への参入を狙う「第3の自動運転車」と呼びたくなる勢力がある。

 その名は「シティモビル(Citymobil)」。EU(欧州連合)が資金の一部を援助する研究開発プログラムの一つとして2006年に第1期がスタートしており、現在は「シティモビル2」が2012年から2016年までの予定で進行している。

 注目したいのはその組織体系である。Googleや自動車メーカーのように特定の企業が主導する形態ではなく、欧州内の企業・自治体・大学など45の団体がコンソーシアムを組んでプロジェクトを進めている。

 既にスイスのローザンヌやフランスのラ・ロシェルなど5都市で実証実験を終了しており、ラ・ロシェルでは4カ月で延べ1万5000人近くを運んだ。現在は欧州のシリコンバレーと呼ばれる南フランスのソフィア・アンティポリスで実験を行っている(図1)。筆者はここで実験車両に乗せてもらうと共に、関係者に話を聞いた。

図1 EZ10を使った実験風景
図1 EZ10を使った実験風景
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