実証を開始したレドックスフロー電池
実証を開始したレドックスフロー電池
(出所:住友電工)
[画像のクリックで拡大表示]
運転開始式の様子
運転開始式の様子
(出所:住友電工)
[画像のクリックで拡大表示]
蓄電池の送電・配電併用運転実証のイメージ図
蓄電池の送電・配電併用運転実証のイメージ図
(出所:住友電工)
[画像のクリックで拡大表示]
レドックスフロー電池の基本原理
レドックスフロー電池の基本原理
(出所:住友電工)
[画像のクリックで拡大表示]

 住友電気工業は、米国カリフォルニア州サンディエゴに大規模蓄電システムを構築し、現地時間の3月16日から運転実証を開始したと発表した。再生可能エネルギーの増加による周波数・電圧の変動や、余剰電力などの課題に対応するとともに、蓄電池の費用対効果の向上を目指す。

 同州政府と米大手電力San Diego Gas and Electric社(SDG&E社)の協力のもと、変電所内に系統用蓄電池としてレドックスフロー蓄電池(2MW×4時間)を設置した。

 配電網において周波数・電圧変動対策、余剰電力対応などの複合的な目的で運転しつつ、信頼性・経済性を評価する。また、系統運用機関からの指令を受けたアンシラリーサービス(周波数安定化サービス)を実施し、その効果の検証や、送配電併用の運用を実証する。

 カリフォルニア州では、大規模な水力発電を含めない再エネの割合を2020年までに33%、2030年までに50%とする目標を掲げている。一方、太陽光の増加による朝夕の急激な需要曲線の変動(ダックカーブ)や、電力品質低下の問題が顕在化しつつある。

 そこで同州では、電力会社に電力貯蔵装置の導入義務を課すとともに、蓄電池ロードマップ(Energy Storage Roadmap)を策定し、蓄電池が適正な収入を得られるような制度設計を実施した。

 今回の実証事業は、2015年9月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とカリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)がMOU(覚書)を締結し、住友電工を委託先として実施するもの。運転開始にあたり、SDG&E社のSan Miguel変電所で運転開始式を開催した。式典には、NEDOの渡邉誠理事、住友電工の伊藤順司常務、SDG&E社のCaroline A. Winn・COO(最高執行責任者)、日本国ロサンゼルス総領事館の千葉明総領事など、両国政府関係者らも参加した。