「いったいこれからどうなるのか。今日の講演を聞いて改めて分からなくなった」。シンポジウム終了後、自動車メーカーや自動車部品メーカーの出席者からそんな声が相次いだ(図1)。

図1 超小型モビリティ・シンポジウムの会場
図1 超小型モビリティ・シンポジウムの会場
期待の大きさを反映して、定員300人のところ申し込みは430人になるほどの盛況。
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 国土交通省は2016年3月22日、東京国際フォーラムで「超小型モビリティシンポジウム~超小型モビリティの成果と可能性」と題した講演会を開いた。ここでいう超小型モビリティとは、自動二輪車と軽自動車の中間に位置する電動小型車のことで、観光や中山間地域(平野に近い山間地域)での日常の足、小口配送用途などへの利用を念頭に、国が新たに車両規定を検討しているものだ(図2)。

図2 各社が超小型モビリティを披露
図2 各社が超小型モビリティを披露
法整備が遅れていて量産ができない小型EV。シンポジウム会場の展示スペースで。
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 国は、超小型モビリティについて2008年から市場調査を始め、2010年から2012年までの3年間、社会実証試験を実施した。そこで得られたデータを基に、2012年6月に車両のガイドラインを定め、2013年1月31日には「公道走行を可能とする認定制度」を発表した。

 そして2013年度から2015年度までの3年間は、自治体などが実施する導入促進事業に対して導入費用の1/2を補助してきた。この制度を利用したのは3年間で合計41事例、台数にして940台となった。

 日本自動車工業会(以下、自工会)によると、2010年の公道走行開始からこれまでに、超小型モビリティを体験した延べ人数は約12万5000人に上るという。こうした社会導入実験に携わってきた自動車メーカーや自治体にとっては、早く超小型モビリティの関連法規が整備され、実際のビジネスにつながってほしいという気持ちが強い。