トクヤマは3月8日、太陽光発電の余剰電力を使って、低コストで水素を作る技術の実証実験を開始したと発表した。

 やまぐち産業戦略研究開発等補助金で採択された、「アルカリ水溶液の電気分解による水素製造設備」として実施している。

 太陽光発電などの再生可能エネルギーの余剰電力などを水素に変換して貯蔵し、必要に応じて再び電力に変換するシステムの要素技術となる。

 トクヤマは、塩水の電気分解による苛性ソーダの製造で蓄積がある。この技術を応用し、長州産業による太陽光発電の出力変動を制御するシテスムと組み合わせることで、太陽光発電電力から効率良く水素を取り出せるシテスムの開発を目指す。

 その第一段階として、トクヤマの徳山製造所内に試作施設を設置し、今回、試験運転を開始した。

 同補助金には、「海水と淡水のみで発電する小型濃度差発電システム」も採択された。旭化成ケミカルズとの合弁企業である、アストム(東京都港区)による事業で、アストムが強みを持つイオン交換膜や、応用システムの技術を生かし、海水と淡水の濃度差を利用して発電するシステムを構築する。

 小型の濃度差発電システムの開発事業は、国内で初めてという。