太陽光由来の水素を工場の運営に活用
太陽光由来の水素を工場の運営に活用
(出所:福岡県)
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事業開始式の様子
事業開始式の様子
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 福岡県は3月21日、トヨタ自動車九州・宮田工場で、「地産地消型再エネ水素エネルギーマネジメントシステムの導入」の事業開始式を開催したと発表した。

 同事業は、太陽光発電由来の水素を工場で利用するもので、福岡県とトヨタ自動車九州、九電テクノシステムズ、豊田通商が連携する。

 トヨタ自動車九州の宮田工場に太陽光発電設備を設置し、その電力で水を電気分解して水素を製造、タンクに貯めておき、燃料電池フォークリフトなどの燃料として活用する。

 太陽光由来の水素を工場の燃料電池フォークリフトで活用するのは全国で初めてという。2017年度には、さらに定置用燃料電池システムを設置し、車両や発電機器などの用途や利用時間帯の異なる機器を最適に運用・制御する「水素EMS(エネルギー管理システム)」を構築するという。

 太陽光に余剰が生じた場合は、 工場内で電力として使用するほか、系統電力が停電の際には、バックアップ電源としても活用できる。今回の事業を実施することで、系統からの受電量を削減し、従来の電動フォークリフト利用の場合と比較してCO2排出を約5割削減できるという。

 開始式であいさつした小川洋知事は、「太陽光発電の電気で水素を製造し、それを工場内の燃料電池フォークリフトや定置型燃料電池に活用するという、まさに将来の水素エネルギー社会を先取りした全国初のプロジェクト。筑豊地域でこうした先進的な取り組みをスタートできることを大変、頼もしく思っている」と述べた。

 福岡県は、水素エネルギー社会の実現に向け、他に先駆けてオールジャパンの産学官連携組織「福岡水素エネルギー戦略会議」を設立し、研究開発、人材育成、関連産業の育成・集積などに取り組んできた。

 今回のプロジェクトでの各社の役割分担は、以下となる。トヨタ自動車九州は、水素利活用システムを導入し、運用・保守・メンテナンスを担当するとともに、他工場への展開を検討する。

 九電テクノシステムズは、再エネ発電量の予測値と燃料電池フォークリフト、定置用燃料電池システムの水素利用計画に基づき、再エネ電力を最大に活用するように水素EMS(エネルギー管理システム)を運転制御する。また、運用・保守・メンテナンスも担当する。

 豊田通商は、事業全体を管理し、再エネ利用の最適化システムの運用ノウハウを蓄積し、事業展開を前提に将来のビジネスモデルの構築を目指す。