太陽光パネル大手の中国インリー・グリーンエナジー・ホールディング(インリー・ソーラー)社は3月17日、両面受光パネルを採用し、設備容量が約400kWの太陽光発電所の建設をオランダで開始したと発表した。両面受光パネルを採用した太陽光発電所としては、欧州で最大規模になるという。

 アムステルダムから東に約70kmのファッセン(Vaassen)にあるTempress Systems社の隣地に建設している。2017年第2四半期に完成する予定。年間に400MWhを超える発電量を見込んでいる。蘭Schulz Systemtechnik社が、EPC(設計・調達・施工)サービスを担当している。

 インリー・ソーラー製の両面受光パネル「PANDA Bifacial」を1428枚使用する。PANDA Bifacialは、n型の多結晶シリコン太陽電池セル(発電素子)を採用しており、公称最大出力は275~280W。インリーとTempress Systems社、ECN社が共同開発したn-PERT(Passivated Emitter, Rear Totally Diffused)技術に基づいている。

 PANDA Bifacialはパネルの裏表両面で発電できるため、片面受光の標準的な太陽光パネルと比較して最大30%の発電量増加が見込めるという。

 また、n型多結晶シリコンの太陽電池セルは、標準的なp型の太陽電池セルよりも弱い光に対する感度が高く、この点も発電量の増加に寄与するとしている。

 片面受光のパネルで一般的なバックシートと表面のガラスからなる構造を、PANDA Bifacialでは2層の2.5mm厚の強化ガラスで置き換えている。塩分やアンモニア、PIDリスク要因などの過酷な環境下で耐久性を試験しており、リニア出力保証は30年間である。

 Tempress社の代表を務めるAlbert Hasper博士は、「発電だけでなく、両面受光パネル技術の利点を証明するためのショーケースとして活用したい」と述べている。