原発の再稼働は多くて10GW、石炭火力の計画は大半が実現せず

 一方、原子力や石炭火力に関しては、伸び悩むという見方を示している。

 福島で発生した原発事故以来、安全基準を満たす原子力発電所の再稼働があまり進んでいないとし、「今後も40GWの容量のうち約4分の1となる10GW程度しか活用されない」と分析している。

 石炭火力についても、現在ある45件の新設案件は、まだ計画の段階にあり、「日本国内における電力需要の伸び悩みや省エネルギーの浸透などから、実際に建設に至る案件は多くない」とみている。最近、電力大手10社が、石炭火力の計画を見直し始めたことなどもそうした動きの一端として挙げている。

 IEEFAは報告書の結論として、日本が再エネを活用して電力産業の転換モデルを採用することで得るものが極めて大きいとした。

 具体的には、「現在、日本は電源構成の80%以上を海外の化石燃料に依存する極めて脆弱なエネルギー安全保障下にあるが、再エネの大量導入に舵を切ることで、2030年までに安全保障が劇的に改善するとともに、経常収支の赤字を低減し、未来の産業における技術の蓄積を長期的に継続できるだろう」と述べている。