中国・国家気候変動戦略研究・国際協力センター(NCSC:National Center for Climate Change Strategy and International Cooperation)のSenior Professorであるリ・ジュンフェン(李 俊峰:Li Junfeng)氏は3月8日、自然エネルギー財団が開催したシンポジウム「REvision2017」において講演し、中国の再生可能エネルギーに対する取り組みを紹介した。
同センターは、中国・国家発展改革委員会の直属組織で、気候変動関連の対策や計画の策定や国際レベルでの政策研究、国際交流などを担っている。
李氏は、中国のエネルギー経済・環境分野に約30年間従事し、中国における再エネの関連法や中長期計画の起草や立案などを担当した経歴を持つ。
中国は、石炭火力発電に偏重した電源構成を変え、石炭や化石燃料による火力発電の比率を減らし、再エネを増やしていく方針を持つ。石炭火力の比率は、従来約70%と高かった。
この転換の理由には、温暖化効果ガスの排出量の削減や、深刻な大気汚染の改善だけでなく、エネルギー安全保障が優先度の高い課題になってきたことがある。
2016年の石油の輸入量は、3億トン以上に達し、輸入依存度も60%以上に上がってきた。
中国では、再エネの導入が好ましいペースで進展しているとしている。2016年には、新たに導入された電源の発電容量が120.6GWとなった。このうち太陽光発電が28.7%、風力発電が15.5%、水力発電が9.7%となった。原子力発電は6.0%である。
一方、石炭火力発電は40.1%となり、最大規模であることには変わらないものの、比率が下がってきている。
この結果、2016年の中国の電源別の発電容量の構成比は、石炭火力が65.1%、水力発電が20.7%、風力発電が9.3%、太陽光発電が4.9%となった。
風力発電の設備容量は150GW、太陽光は77GW、水力は331GWとなっている。風力発電の発電容量では、世界全体の30%を占めている。
中国では、10年前の再エネ電源がゼロだったことを考えると、急激に導入が進んでいる。