ブレードをドローンで空撮
ブレードをドローンで空撮
(出所:テラドローン)
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レポートの一部
レポートの一部
(出所:テラドローン)
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破損の大きさは約30cm
破損の大きさは約30cm
(出所:テラドローン)
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 ドローン(無人小型飛行体)関連を手掛けるテラドローン(東京都渋谷区)は3月19日、ドローンによる風力発電設備向けのブレード(羽根)点検サービスを開始したと発表した。

 国内の風力発電設備ではこれまで、高所作業用の重機に点検作業者が乗ってブレードに近づく、または、作業者をロープで吊り下げてブレードに近づくなど、人がブレードに近づいて目視点検する手法が主流となっている。

 しかし、立地によっては重機を使うことができない。また、ロープを使って人がブレードに近づく手法は、高所作業の資格が必要になる。いずれの手法も、制約があり、場所や担い手が限られていた。

 風力発電で先行する欧米でも、この課題は共通で、いち早くドローンの活用がはじまっている。テラドローンでも、海外のグループ会社を通じてブレードの点検への応用が先行していた。オランダやポルトガルで数百件規模の実績を重ねてきたという。

 同社によるドローンを使ったブレードの点検では、これまでの手法の立地条件や資格の有無の課題を解消するとともに、作業時間の大幅な短縮による効率化、安全性の向上、点検品質の向上に繋がるとしている。

 作業時間では、撮影のプロセスだけでも、従来の手法では1日に2基の撮影が限界だった。これに対して、同社のドローンを使った空撮では、ブレード1枚当たり約8分で空撮が完了し、1日あたり約7~8基の撮影が可能という。

 ドローンを使ったブレードの点検は、自律飛行で実施する。同社では、中国DJI製のドローンを採用し、レーザー照射による自己位置推定を応用し、ブレードの点検に最適な自律飛行を実現している。機体に取り付けたアタッチメント(用途別の治具)にレーザー照射モジュールを搭載している。

 自律飛行を採用したのは、これまでのドローンを使ったブレード点検では、マニュアル操作の操作ミスによって、ブレードに衝突するといった事故が生じることがあったためという。操作ミスの確率を減らし、より安全な点検を可能としたと強調している。

 また、点検精度の面でも、自律飛行が不可欠とする。空撮では、撮影するブレードの場所に対して、適切な航路で飛行しながら、所定の距離に近づいて、適切に画像を撮影する必要がある。マニュアル操作では、この面で難しさがあり、この問題も国内でドローンを使った点検が実用化されていない理由だった。

 同社のサービスでは、空撮した画像は、専用のソフトウェアを介してクラウドコンピューティング上で管理する。その後、人工知能(AI)を活用して画像が処理され、ブレードの表面の損傷の度合いを分類する。

 この画像処理やレポートの作製でも、効率化している。複数の風車のブレードを連続して撮影した場合、同じような部位の画像データが多く撮影されるため、どの風車の、ブレードのどの位置の画像なのか、手作業で特定していくのでは作業効率が悪く、ここも大きな課題となっていた。

 同社では、この空撮後の「後工程」のプロセスも自動化し、効率化した。