米InterDigital社は、2017年3月16日、同社と米Tolaga Research社が手掛けた米国電気通信工業会(Telecommunications Industry Association、TIA)最新調査レポートの概要をニュースリリースに掲載した(ニュースリリース)。レポートでは、2020年にも始まる5G完全商用開始に向けた課題として、ネットワークの高密度化、データオフロードの多様化、バックホール技術の3つを挙げている。調査は5G技術の開発と試行に直接関与する31の通信事業者の責任者にインタビューする形で行われた。

4分の1以上の事業者(26%)が、今後24カ月の間に5Gトライアルを開始するとしている
4分の1以上の事業者(26%)が、今後24カ月の間に5Gトライアルを開始するとしている
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スモールセルの設置場所に大きな課題

 ネットワークの高密度化については、スモールセルの設置場所が課題となる。調査では、ほとんどの事業者が建物の所有者と協力(75%)、地方自治体などと協力して、公共の電気施設(64 %)や照明施設(61%)を活用する計画があると回答している。ただし、複数の協力先を得ているとする回答は40%未満に留まっており、レポートでは手広い協力を得られなければネットワークの高密度化は難しいと指摘している。

スモールセル設置時パートナーの検討先
スモールセル設置時パートナーの検討先
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 通信量を分散してネットワーク負荷を下げる、データオフロードに関して。5Gの広い周波数帯域を確保するために、ライセンス帯域とアンライセンス帯域を併用したデータオフロードが必要となる。ところが大多数の79%が現在と同じく無線LANを使用し続けると回答。以下、55%がLAA(Licensed-Assisted Access、アンライセンス周波数帯を用いたLTE通信)を、41%がLWA(LTE Wi-Fi aggregation、LTEと無線LANのアグリゲーション)やLTEと無線LANの統合技術がよいとし、MulteFire(アンライセンス周波数帯を使って単独で動作するLTEシステム)に興味ありとしているのはわずか4%に留まる結果となっている。