ソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズとモリタは2017年3月17日、MR(複合現実)技術を活用した歯科治療シミュレーションシステムを開発したと発表した。歯科治療のトレーニングに向けるもので、施術者が仮想空間のCG画像のガイドを見ながら、現実空間の実習模型に治療を施せる。2017年3月21~25日にドイツ・ケルンで開催される歯科業界の展示会「第37回ケルン国際デンタルショー」で、同システムのデモンストレーションを実施する。
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を用いた治療トレーニングツールは従来もあったが、今回は両者を融合・発展させたMR技術を用いるのが特徴。施術者の経験に頼らずに、よりリスクが少なく安全な治療を行うトレーニングを積むことができる。歯科医師の監修のもとで開発した。
このシステムでは、ステレオカメラを搭載したヘッドマウントディスプレーを施術者が装着。すると、ステレオカメラが患者(実習模型)の口腔内や患部の映像を捉える。この映像データに、肉眼では確認できない患部の神経や血管の位置、形状などの情報をCG画像として重ねる。これにより、施術者は傷つけてはいけない部分を視認しながら治療できる。施術する深さや方向が計画通りに進んでいるかどうかを、CG画像と照らし合わせて確認することも可能だ。
同システムでは、施術者や患者、歯科用器具の位置を外部センサーでリアルタイムにトラッキングすることで、それぞれの空間位置を認識する。教育だけでなく、臨床現場でも利用できるシステムの開発を見据えており、そこに向けて音声やジェスチャーによるUI(user interface)コントロールにも対応させた。