買取費用の増加ペースは落ちる

 一方、FITによって電気料金に上乗せされる賦課金総額の2017年度における想定額は2兆1430億円となり、同年度の販売電力量の想定(8106億kWh)で割ると2.64円/kWhとなり、標準家庭(260kWh/月)の場合、月額686円、年額8232円となる。

 2016年度の賦課金負担額は、標準家庭(300kWh/月)で月額675円、年額8100円だったことから、標準家庭の場合、月額で11円の増加となる。なお、2016年度の標準家庭である電力使用量300kWh/月のケースでは、2017年度の負担額は月額792円、年額9504円となり、月額117円の増加となる。

 賦課金総額は、買取費用の総額から回避可能費用を差し引き、費用負担調整機関事務費を加えたもの。2017年度の買取費用の想定は 2兆7045億円、回避可能費用は5644億円、費用負担調整機関事務費 2.9億円と想定した。

 買取費用の総額は、2015年度・1兆8370億円、2016年度・2兆3000億円だった。2017年度の新規稼働分などによって4045億円増加すると想定している。2016年度の2015年度に比べた増加額は、4630億円だったことから、買取費用の増加ペースは、すでに落ちていることが分かる。

 経産省は、2030年の望ましいエネルギーミックスを決める議論のなかで、再エネの買取費用(年間の総額)の上限を、3.7~4兆円と設定したうえで、電源構成に占める再エネ比率を22~24%と決めた経緯がある。2017年度の時点で、すでに「上限値」の半分を超えていることになる。

 ただ、改正FIT法の施行によって、買取価格40円/kWh、36円/kWhなどFIT開始当初に認定を取った未稼働案件の相当数が、新認定制度に移行できない見込みで、2017年度以降、相対的に買取価格の低い案件の稼働が中心となる。

 新規稼働容量は横ばいから減少傾向にあり、買取単価の低下とあいまって、今後、買取費用の増加がかなり抑制されることになる。