フィリピンの電力大手であるAboitizPower社は3月11日、同社子会社のSan Carlos Sun Power(SaCaSun)社が西ネグロス州のサンカルロス市で建設していた59MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が完成し、ビサヤ(Visayas)の電力網に電力を供給し始めたと発表した。公式の開所式は4月に開催する予定である。

 総工費は49億ペソ(日本円換算で約118億円)で、複数社による出資とBDOユニバンクからの融資によって賄われた。

 一般的な家庭2万7600軒分の電力を賄うことが可能で、年間の発電量は85GWh以上を見込む。温室効果ガスに関しては年間4万4000t、自動車換算で約1万台分の排出量を今後20年間にわたって削減できるという。

 同国の固定価格買取制度(FIT)の適用要件を満たすことが確認され次第、8.69ペソ(同21円)/kWhで同国のスポット取引市場において電力が優先的に売買される見込みである。

 西ネグロス州はフィリピン中部、セブ島の西隣に位置するネグロス島の西半分を占める。人口は310万人以上とビサヤ地方ではセブ州に次いで多く、フィリピンでも5番目の規模である。

 電力インフラに現在、大きな問題はない模様だが、従来から盛んな製糖業に加え、近年では情報通信系のアウトソーシング産業の集積が進んでおり、今後も同国の経済成長に伴って電力需要が堅調に推移すると見込まれる。

 SaCaSun社による今回のメガソーラープロジェクトは、AboitizPower社グループとして初の太陽光発電事業である。SaCaSun社はフィリピンの再生可能エネルギー発電事業者としては最大の企業の一社であり、太陽光以外にも水力と地熱の発電所ポートフォリオを保有、運営しているという。