フランスのElectro Power Systems Group(EPS)社は、モルディブ諸島の高級リゾート地で太陽光発電などの「ハイブリッド発電所」を新規に建設中であり、完成が間近であると発表した。発電所の建設計画は予定通りに進んでおり、2016年6月末の稼働を見込んでいる。

 ハイブリッド発電所の規模は2WMで、リゾート地のロッジなどに電力を供給する。系統網に接続しないオフグリッド型で、完全なマイクログリッド・システムとなる。

 発電所は、太陽光パネル、蓄電池システム、高度制御システムなどで構成され、遠隔操作も可能とする。システムを小型化・モジュール化することで、リゾート地にある様々な建築物の屋根に太陽光パネルを設置できるという。

 総投資額は約45万ユーロである。稼働後は年間に27万5000lの軽油を節約でき、165tの温室効果ガス排出量を削減できるとしている。

 仏EPS社はアフリカ東部のソマリアで2月下旬にこのプロジェクトと同様のハイブリッド発電所を稼働させた。いずれも、子会社のElvi Energy社がエンジニアリングや施工を担当している。

 EPS社はグループ全体で3MWの水素エネルギー・システム、8.7MWのハイブリッド発電所、44.3MWhの定置型蓄電池システムをこれまでに手掛けてきた。設備容量の合計は、世界21カ国で21.1MWに達する。

 モルディブはインド洋北部で主要な陸地からは1000kmほどの海域に位置し、約1200の島や環礁から構成される島しょ国である。このような地域特性から、同国には統合された電力網が存在せず、各島ごとに電力のほぼ100%をディーゼル発電機で賄っている。

 近年、気候変動の影響とみられる海面上昇やサンゴ礁の死滅により、環境と経済の両面から国家存亡の危機にさらされている。同国の発電コストは40セント/kWhと南アジアで最も高く、同国GDPの14%が化石燃料の輸入に費やされているという。