東芝代表取締役社長の綱川智氏
東芝代表取締役社長の綱川智氏
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 東芝は、2017年3月14日に、報道関係者やアナリストを対象にした説明会を開催した。代表取締役社長の綱川智氏が登壇し、今後の東芝再生への取り組みなどを説明した。綱川氏は今回、「東証2部降格は覚悟している。その前提で、新生東芝に向けた中期経営計画を立てている」と語った。しかし、「上場廃止にはならないように努力していきたい」との考えを示した。

 綱川氏は、東芝再生への取り組みとして、大きく3つの施策を挙げた。第1に海外原子力事業のリスク遮断。第2に、財務基盤の早期回復と強化である。第3に、東芝グループの組織運営の強化だ。

 第1の「海外原子力事業のリスク遮断」については、マジョリティー売却などによる非連結化を含め、再編検討を加速させていく。東芝グループにおける米Westinghouse(WH)社の位置づけを「根本的に見直す」(東芝の綱川氏)とした。戦略的選択肢を積極的に検討していく方針である。

 第2の「財務基盤の早期回復と強化」については、メモリー事業への外部資本導入(マジョリティー譲渡を含む)を積極的に推進していく。2017年4月1日付で同事業を分社化し、新会社「東芝メモリ」に事業承継する。この目的は2つある。一つはメモリー事業のさらなる成長に必要な経営資源を確保すること。「NANDフラッシュメモリー事業は年間3000億円前後の設備投資を継続していく必要がある」(東芝の綱川氏)。この規模の大規模設備投資はもはや東芝では実行するのが難しいため、外部資本の導入が不可欠になることを意味する。もう一つは、東芝グループの債務超過を解消することである。

 ただし、東芝の綱川氏は「メモリー事業への外部資本導入について、日本の先端技術を海外に流出させていいのか、という意見があるのは承知している。従って、外部資本から提示された金額の大小だけでなく、半導体技術は国の安全にも関わるということも考慮した上で株式の売却先を決める」との考えを示した。日本政府が資本参加などを含めて何らかの形でメモリー事業の将来に関わるか否かについて、「あるなしを含めて、現在言及する段階にない」(綱川氏)と、含みを持たせた。

 財務体質の強化に向けて、メモリー事業への外部資本の導入とともに、保有資産の売却も継続していく。2016年度には保有資産を1600億円程度、売却することになる。例えば、2016年度実績として、東芝プラントシステム、ジャパンディスプレイ、東芝機械、シグマパワー、東芝医用ファイナンスの株式を売却している。加えて、2016年度には青梅工場や米アーバインキャンパスの不動産を売却した。2017年度も保有資産の売却を継続していくとした。