2017年1月、C型肝炎の特効薬「ハーボニー」の偽造品が日本国内で流通していることが明らかになった。医薬品の真贋を簡便かつ確実に見極める技術があれば、こうした問題の解決の一助になるかもしれない。

DataLase社の技術による印字例
DataLase社の技術による印字例
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 薬剤や点滴パック向けラベルプリンターの大手、サトーヘルスケアを傘下に持つサトーホールディングスが2017年1月に子会社化した英DataLase社は、そんな技術につながるノウハウを持つ。素材表面を特殊な発色顔料でコーティングしてその表面を感熱素材に変え、ここにレーザーマーカーで熱を加えることでダイレクト印字できる技術(インラインデジタルプリンティング技術)がそれだ。製造ラインの最終工程で、製品に可変情報などを高速に印字できる強みがある。

 サトーホールディングス 代表取締役 執行役員社長兼CEOの松山一雄氏は、医薬品は「ユニークIDやシリアルIDをつけて個別にトレースする方向にあり、ガイドラインでも対応がなされている」と話す。こうした用途では、同社がかねて強みを持つラベルプリントに加え「大量の処理が求められる対象にはDataLase社の技術を活用できる」(同氏)とにらむ。

 DataLase社が持つインラインデジタルプリンティング技術の医薬品への応用に関して、サトーが可能性を感じている用途の一つが「市場流通品の真贋判定」(松山氏)。DataLase社はセキュリティー技術の開発にも力を入れており、真贋判定のアルゴリズムを実装したセキュリティーコードを医薬品に付与するといったアイデアが考えられるという。