PowerStoreの構成イメージ
PowerStoreの構成イメージ
(出所:ABB「PowerStore Renewable microgrid stabilization」)
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 重電大手のスイスABBは2月1日、蓄電池とフライホイール(弾み車)を組み合わせたマイクログリッド向け蓄電システム「PowerStore」を、米国アラスカ州アンカレッジの電力会社である米Chugach Electric Association社に提供すると発表した。

 コンテナに格納されたモジュラー型の蓄電システムで、2つのエネルギー貯蔵技術のそれぞれの長所を生かしたのが特徴。フライホイールは、電力を回転エネルギーとして蓄える仕組みで、瞬時の充放電に向く。蓄電池の容量は500kWhで最大出力2MW。

 太陽光や風力など出力変動の大きい再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドの安定運用をサポートする。

 今回のシステムでは、風力発電による短周期の急峻な出力変動を打ち消す形で、フライホイールから充放電し、電力系統における周波数の変動幅を緩和する。一方、蓄電池は長周期での充放電に使い、時間単位での需給バランスを平準化する役割となる。

 Chugach Electric Association社では、アンカレッジの4km沖のファイヤー島にある出力17MWの洋上風力発電設備などの再生可能エネルギーをより多くの電力系統で活用できる技術の確立を目指している。今回、PowerStoreの導入により、アンカレッジの住民30万人への電力供給安定性を大幅に改善できるとみている。

 蓄電池とフライホイールを組み合わせた再エネ対応の蓄電システムは、日本でも、山梨県がメガソーラー(大規模太陽光発電所)に併設して実験している(関連記事1)(関連記事2)。