日立ハイテクノロジーズと日立製作所は、キッズスターが提供する高齢者向け認知症・介護予防サービス「脳エクササイズ」の開発に協力したことを発表した。脳科学をモノづくりに活用する取り組みの一環という。

 脳エクササイズは、「脳を鍛えるトレーニング」+「体操」をコンセプトに開発された認知症・介護予防とコミュニケーションの活性化をはかるサービス。介護施設やフィットネスクラブなどでの利用を想定しており、入力デバイス「Kinect for Windows」を活用してテレビの前で身体を動かしながら脳トレーニングを行える。

 今回の検証研究では、脳機能計測と認知科学的手法を採用。高齢者(60~72歳の男性18名)を対象に、画面上に表示される問題に対し全身を使ってプレイする「脳エクササイズ」とゲームパッドを用いて指先だけでプレイする「PCゲーム」を体験してもらい、体験前後に認知課題(ストループ課題、GO/NOGO課題)を実施した。

 分析の結果、前頭部中央右側領域において、「PCゲーム」ではプレイ前よりプレイ後の方がストループ課題中の脳血流反応の増加が小さくなった一方で、「脳エクササイズ」のプレイ前後では変化が見られなかった。ここから、このプレイ前後の脳血流反応の変化に統計的有意差があることが分かった。

 また「脳エクササイズ」によって、認知課題の回答時間が短くなることも判明。この結果は先行研究と同様の傾向を示していることから、「脳エクササイズ」による高齢者の認知機能向上が期待される。