調査会社である台湾TrendForceの一部門EnergyTrendは3月10日、中国の旧正月以降に太陽電池のグローバル市場で需要が減退していると発表した。米国と日本で太陽光発電を設置するピークの時期が終わったこと、中国でも太陽光発電を系統に連系する業務が6月末で完了するため、それによる需要も低下しつつあることが背景にあるとする。

 EnergyTrendのアシスタント・リサーチマネージャーであるCorrine Lin氏は「弱含む需要で最初に影響を受けるのは、中国と台湾の太陽電池メーカーである。理由は、それらメーカーへの発注のほとんどが中国の垂直統合型メーカーから来るためである」という。

 中国製の太陽電池価格は旧正月以降下落しており、台湾メーカーも少しでも多く受注を獲得するため値下げに走っている。

 台湾の太陽電池メーカーは、中国の上位メーカーと同様に以前は欧州と日本に輸出していた。ところが、日本の事業者は、施工コストを節約するため、台湾の太陽電池から中国の垂直統合型メーカー製のより低価格な製品へと切り替えたのである。結果的に、2015年の台湾から日本への太陽電池の輸出はほぼ半減したという。

 欧州市場では、長期にわたって需要が停滞している。したがって、台湾の太陽電池産業は、中国の主要な顧客と東南アジアのそれらのOEMパートナーからの発注に再び依存しつつ、余剰となった製造能力の稼働率を上げようとしている。

 「昨年の太陽電池不足は、ほとんど中国での太陽光発電所建設ラッシュの結果だ。中国国内の需要が弱含めば、既に価格の高すぎる台湾製の太陽電池に影響が及ぶ」(Lin氏)。

 トリナ・ソーラー、ジンコソーラーホールディング、カナディアン・ソーラー、JAソーラー・ホールディングスといった中国の主要な得意先が太陽電池の購入を手控えると決定すれば、台湾のメーカーは直ちに大規模な生産能力過剰という問題を抱えることになる。そのような状況下でどこか一社のメーカーが価格を引き下げれば、他のメーカーも追随し、「価格競争ドミノ」が業界全体に広がるだろう。