「ゼロエネルギー」の達成度
「ゼロエネルギー」の達成度
(出所:積水化学工業)
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蓄電池の放電量
蓄電池の放電量
(出所:積水化学工業)
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 積水化学工業は3月9日、太陽光発電システムと住宅エネルギー管理システム(HEMS)を導入した住宅における、「ゼロエネルギー」達成度や蓄電池の運転実績に関する調査の結果を発表した。

 同社は、1997年以降、住宅への太陽光発電システムの導入を積極的に進め、2012年には大容量の太陽光発電システム、蓄電池、HEMSを標準として実装した住宅を発売している。

 今回の調査は、2014年1月~12月に「セキスイハイム」に入居した世帯を対象とした。3078邸の2015年1月~12月の電力消費量、発電量、電力量の収支を、住宅に設置されているコミュニケーション型HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータから分析した。

 分析結果では、「家電込みでのゼロエネルギー邸」が32%(前の年度:17%)、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)相当邸」が27%(同30%)に達した。この両者を合わせた「太陽光発電システム導入邸」の59%(同47%)が、「ゼロエネルギー」を達成したことになる。

 光熱費の年間収支は、「家電込みでのゼロエネルギー邸」でプラス17万8530円(前の年度:プラス11万9676円)、「ZEH相当以上邸」でプラス8万9061円(同:プラス5万2551円)と、効果が高まった。

 電力量の年間収支は、「家電込みでのゼロエネルギー邸」でマイナス2.896kWh(前の年度:マイナス1312kWh)、「ZEH相当以上邸」でマイナス276kWh(同:プラス1042kWh)となった。

 再生可能エネルギーの固定買取価格期間の終了後を見据え、定置型の大容量Liイオン蓄電池「e-Pocket(イー・ポケット)」を導入した1368邸における、蓄電池の放電量の実績と、電力の自給自足を想定した運転の効果検証も実施した。

 導入している蓄電池は、グリーンモード(自立優先モード)、経済モード(経済優先モード)、非常運転モード(停電時モード)の3つの運転モードを備えている。今回は、経済モードとグリーンモードの2つを対象に調査した。

 経済モード運転の場合、年間の放電量は中央値で1310kWhとなった。消費電力が多い冬と夏に放電量が多くなる傾向が見られた。深夜に電力を充電し、太陽光発電電力を売電していない朝や夜に放電していることになる。

 一方、グリーンモード運転の場合、夕方から翌朝まで長時間の放電が可能なため、経済モードよりも放電量が増加している。年間の放電量は中央値で1590kWhとなり、数値上からも、より蓄電池を活用できていることがわかったとしている。

 グリーンモード運転では、系統に流す電力は24%抑えられることで、さらに電力自給率が42%(太陽光発電電力の直接利用の23%+蓄電池からの放電電力の利用の19%)と高まる。太陽光発電電力のみの自家消費に比べ、電力自給率がほぼ倍増している。これらの結果から、固定買取期間の終了後、 住宅への蓄電池の導入の有効性が高まると強調している。