図1 社長懇談会で登壇するシャープ代表取締役社長の戴正呉氏
図1 社長懇談会で登壇するシャープ代表取締役社長の戴正呉氏
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図2 社長懇談会に出席したシャープ代表取締役副社長兼管理統括本部長の野村勝明氏
図2 社長懇談会に出席したシャープ代表取締役副社長兼管理統括本部長の野村勝明氏
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図3 商品説明をする戴正呉氏
図3 商品説明をする戴正呉氏
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 シャープは、2017年3月13日、メディア関係者向けに同社代表取締役社長である戴正呉氏との社長懇談会を大阪府堺市のシャープ本社で開催した。戴氏は、台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕出身で、2016年8月13日にシャープの社長に就任している。

 戴氏はまず、社長就任後、これまでの7カ月間の主な取り組みを説明した。この期間を同社の抜本的な構造改革の重点推進期間と位置づけ、さまざまな施策を講じてきた。例えば、旧経営陣の際に、資金調達力の問題から滞り気味だった投資を再開。2016年9月28日には旧本社地区(田辺ビル)の再取得、同年9月30日には有機ELディスプレーの第4.5世代生産ラインへの設備投資を敢行。同年10月14日には同社向け電子部品の生産設備の取得、同年12月26日にはカメラ用電子部品の開発生産会社への出資などを実施してきた。 

 続いて、Foxconnグループ入りを契機にして、研究開発を含めたグローバル体制の構築にも着手。例えば、2017年1月20日には、中国深センに家電製品の研究・開発センターを設立している。

 抜本的な構造改革は既に成果となって表れている。営業利益は2016年度第2四半期から黒字化し、同年第3四半期からは当期純利益の黒字化を達成。加えて、2017年2月17日には2016年度の通期業績を上方修正し、2016年度の年間経常利益の黒字化を見込むまでに急回復させた。

 早期の黒字化に向けて、3つの構造改革を断行したという。第1に経営資源の最適化、第2に責任ある事業推進体制の構築、第3に成果に報いる人事制度の確立である。戴氏は、この人事施策について、今回詳しく説明した。骨子は2つある。1つは、年齢、性別、国籍に関係なく、成果を上げた人にしっかりと報いる信賞必罰の仕組みである。もう1つは、優秀な若手人材の活躍を後押しする仕組みに改革し、年齢構成を是正することだ。そのために、等級・給与制度の改革、賞与改革を実施している。等級・給与制度の改革については、新入社員にも入社後すぐにやりがいのある仕事に挑戦する機会を与える。新入社員は、専門性を考慮した等級につける。そして、優秀者には入社から半年後に5~10万円前後の大幅な給与引き上げを行う。

 賞与改革については、信賞必罰の考えの下、個々人の業績貢献への度合いにより支給金額に大きな差をつける。同社の賞与は2016年度には平均2カ月だったが、2017年度には平均4カ月となる。ただし、2017年度は業績貢献に応じて、年間8~1カ月のメリハリある賞与を支給する。高い業績を上げた社員には年間で最大8カ月分の賞与を支給することになる。加えて、会社業績やブランド価値の向上に特別な貢献をした社員には、社長特別賞を追加支給する。

 採用戦略も大きく変える。通年採用、第2新卒の拡大で優秀な若手人材の採用を強化する。2018年4月の採用者数は2017年4月比で倍増させる。