Twin QCMセンサーの外観
Twin QCMセンサーの外観
(写真:NDKのニュースリリースより)

 日本電波工業(NDK)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2017年3月10日、真空環境下において宇宙用材料などから放出されるガス(アウトガス)を高精度に計測できる新型コンタミネーション計測センサー「Twin QCM(Quartz Crystal Microbalance:水晶振動子式微小天秤)」を共同開発したと発表した(ニュースリリース)。2017年4月に販売開始する。

 宇宙空間では、プラスチックや接着剤などの材料から放出されるアウトガスによるコンタミネーション(汚染)が問題となる。地球観測衛星や天文観測衛星の望遠鏡レンズ表面などでコンタミネーションが生じると、光学性能や画質を低下させ、寿命が短くなる。このため、材料からのアウトガスの発生を可能な限り抑えられるよう、正確な計測結果に基づく部材選定が重要になる。

 従来のアウトガス計測では、水晶振動子センサーによるQTGA計測法を用いる。参照用センサーと計測用センサーの差分を計測することでアウトガスの付着量を計測し、センサー温度を制御することで物質の付着・脱離特性から何のガスかを同定する。しかし、2つの水晶振動子センサー間の特性差や温度差が、高精度な計測を妨げる要因になっていた。

 今回開発したTwin QCMセンサーは、1枚の水晶振動子センサー上に参照用電極と計測用電極を設けたツインセンサー方式を採用し、従来品の課題であったセンサー間の特性差や温度差のバラつきの問題を解消した。ツインセンサー技術は、NDKが販売中のバイオセンサー「NAPiCOS」シリーズの技術を用いた。