「ネックバンド型ウエアラブルデバイス」(右)と「オープンイヤー型イヤホン」(左)。オープンイヤー型イヤホンは穴の開いたところを耳の穴の入り口に当てる。
「ネックバンド型ウエアラブルデバイス」(右)と「オープンイヤー型イヤホン」(左)。オープンイヤー型イヤホンは穴の開いたところを耳の穴の入り口に当てる。
[画像のクリックで拡大表示]

 ソニーが研究開発の変革に乗り出した。2016年3月4日に発表した「Future Lab Program」という取り組みだ。数年~10年先といった未来に商品に搭載する“虎の子”技術を、コンセプトプロトタイプとして外部に公開。社外と新しい使い道や価値、ライフスタイルを協創することを目指す。

 これまでソニーの研究開発では、その成果は社内に抱え、市場の動向を見ながら社内の関連部署が商品化してきた。しかし、そうした社内に抱え込んだ技術の中には「早い段階で世に問い、広くフィードバックを求めた方が最終的に大きな市場を形成できる可能性があるものがあった」(同社 RDSプラットフォーム システム研究開発本部 副本部長の丸尾淳氏)。また、早い段階で新規技術を外部に見せることで、製品を投入するタイミングを測るのにも役立つという。「せっかく内部で開発していたのに、他社が先に発表してしまい、悔しい思いをしたものもあった」(同氏)。

 とはいえ、早い段階で公開すると他社に模倣されるという問題が発生しそうだが、ソニーは意に介さない。「真似をされるということはそれだけいいコンセプトだということだし、真似された方がそのコンセプト関連の市場が広がる」(丸尾氏)と考えるからだ。「特許は確保した上で公開しており、まったく同じものは作れないはず。模倣品が出てきても、商品力で勝負する」(同氏)。かつてソニーは新カテゴリーの製品を世に問う“電機業界のモルモット”と呼ばれた時代があったが、その時代に戻る勢いだ。