音声認識技術を開発する米Nuance Communications社は2016年3月7日、カリフォルニア州パロアルト市内で技術説明会「Nuance Automotive Innovation Day」を開催した。自動車メーカーや大手部品サプライヤー(ティア1)、報道関係者などに向けて、同社の新技術と今後の事業構想を説明した。

 Nuance社の音声認識技術は、「Dragon Drive」としてこれまでに、トヨタ自動車や米GM社、ドイツVolkswagen社など大手自動車メーカーを中心に、合計1億4000万台もの車両に搭載されてきたという。また、同様の技術を使い、自動車分野だけでなく、病院やコールセンターなどの分野でも実績を上げている。

 もっとも、2016年2月末の時点では車載向け音声認識システムの多くが、自動車メーカーやティア1が決めた特定のキーワードのみに対応するタイプである。米Apple社の「Siri」や米Google社の「Google Voice」のように、クラウドを介した自然言語対応の音声認識を行っているクルマは、ドイツBMW社の「7シリーズ」など一部の車種を除いてほとんどない。

 こうした現状を打開するためNuance社は、車載器とクラウドの両方を使う新しい音声認識技術を開発しており、今回の説明会ではそのデモンストレーションを行った(図1)。

図1 音声認識のデモンストレーション
図1 音声認識のデモンストレーション
GMの「Cadillac Escalade」で車載器とクラウドの双方を使って音声認識をするデモ。
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