日立製作所は2017年3月9日、竹類からカリウムと塩素を溶出させることで発電用木質バイオマス燃料と同等の品質に改質する技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。同時に、溶出した成分が植物育成剤として利用可能であることを確認した。従来バイオ燃料には不向きとされていた竹類を有効なエネルギー源にするとともに、持続可能なバイオマス再生循環システムの確立につながるという。

竹を木質バイオマス燃料に改質する過程で溶出された成分を肥料として使った結果。抽出物を多く使った作物ほど大きく育ち、変色も少なかった
竹を木質バイオマス燃料に改質する過程で溶出された成分を肥料として使った結果。抽出物を多く使った作物ほど大きく育ち、変色も少なかった
(写真:日立製のニュースリリースより)

 日本において竹は、タケノコの栽培や竹材の利用などで多く植えられたが、近年は需要減少などで手入れされていない竹林が増えている。竹は成長力が非常に強く、根が森林へ拡大、侵入すると、そこに生育する樹木の健全な成長を阻害し枯死させるなど、他の樹木や生物多様性への影響が大きい。そこで、放置竹林の拡大防止策として、伐採した竹を資源として有効活用することが重要な課題となっている。

 その一方で竹は、カリウムを多量に含有するため灰の軟化温度が680~900℃と低く、大型のボイラーで燃焼させると炉内にクリンカという溶岩を生成するという特性を持つ。また、塩素濃度が1000~5000ppm(0.1~0.5%)と高く、耐火物や伝熱管の腐食を発生させやすいという課題がある。さらに、ダイオキシン類の発生も懸念されるため、竹をバイオ燃料に利用するのは不向きとされてきた。