インドにおける太陽光発電システム設備容量の推移
図1 インドにおける太陽光発電システム設備容量の推移
(出所: Mercom Capital Group)
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インドにおける州別の太陽光発電システム設備容量
図2 インドにおける州別の太陽光発電システム設備容量
(出所: Mercom Capital Group)
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 インドで2016年に設置される太陽光発電の設備容量が4GW以上に成長し、市場規模が2倍まで増加する――。3月8日、Mercom Capital Group社がこうした見通しを発表した。同社は、クリーンエネルギー分野で調査やコンサルティングをグローバルに手がける。

 同社によると、インドの太陽光発電市場は2014年まで伸び悩んでいたが、2015年に142%増の2133MW(2.133GW)に達し、2016年から2017年にかけても、著しい成長が見込まれる、としている(図1)。

 設置済みの累積設備容量は5632MW(5.6GW)程度だが、現在、開発中の太陽光発電プロジェクトは10GWをやや上回るレベルに達しており、今後2、3カ月間で約8.4GWが入札にかけられるという(図2)。

 こうしたなか、Mercom社の共同創立者で最高経営責任者(CEO)を務めるRaj Prabhu氏は、「太陽光発電産業には『用心深い楽観論(cautious optimism)』があり、極端な安値での入札が業界内で大きな懸念になっている」と指摘する。

 同社の調べによると、最近の3カ月間で入札価格は6%も下落しており、買取価格は4.34ルピー(日本円換算で約7.33円)/kWhと最安値を更新したという。

 買取価格が5ルピー(同8.45円)を下回るプロジェクトは、施工コストが5000万ルピー(同8450万円)以下でない限り、「極めて事業リスクが高いと考えられ、資金調達も難しい」(Prabhu氏)という。

 ところが、そういった安値受注の太陽光発電プロジェクトの大半が、2017年に系統連系されると見込まれている。開発企業は、入札から調達までの間に太陽光パネルなどの部材コストが継続的に下落することに望みをかけているという。

 最近、発表された政府の予算も、太陽光発電産業に対して影を落としている。例えば、太陽光発電設備の前倒し償却は、2017会計年度以降80%から40%に減額される。

 一方で、クリーン環境税(Clean Environment Cess、以前のClean Energy Cess)は、200ルピー(同340円)/tから400ルピー(同680円)/tへと改定されている。この増税は石炭火力のコストを上昇させるため、太陽光発電にとっては追い風となる。

 ただ、コストの増加は結局、電気代の値上げという形で消費者に転嫁されるため、批判の矛先が太陽光発電に向かうとの見方もある。