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HOMEエレクトロニクス通信 > 深紫外LEDの光取り出し効率を驚異的に改善

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深紫外LEDの光取り出し効率を驚異的に改善

Printable Electronics 2017/nano tech 2017報告

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2017/03/10 11:40
  • 1/4ページ

1. はじめに

 2017年2月15~17日の3日間、東京ビックサイトで開催された「Printable Electronics 2017」と「nano tech 2017」の展示会から、筆者が注目した展示を8回にわたって紹介する。第4回目は、深紫外LEDの光取り出し効率を驚異的に改善した成果を取り上げる。フォトニック結晶やナノ光構造を駆使し、光取り出し効率の大幅な向上技術を開発することで、深紫外LEDの効率向上を阻む最大課題を解決した。深紫外LEDの高効率化や高出力化、さらに産官連携による本格的な実用化技術開発に取り組んでいる情報通信研究機構(NICT)深紫外光ICTデバイス開発センター(井上振一郎センター長)の成果を紹介する(深紫外LEDの関連記事1同記事2)。

2. ナノ光構造を駆使した深紫外LEDの高性能化

2.1 AlGaN系深紫外LEDのデバイス構造

 NICTはトクヤマとの共同研究により、単結晶AlN基板を用いた深紫外LED(DUV-LED)の研究開発を進めている。図1に、AlGaN系深紫外LEDのデバイス構造を示す。AlN基板上の深紫外LEDでは、格子定数差や熱膨張係数差がほとんどなく、106cm-2以下という圧倒的な結晶欠陥の低減(低転位化)を深紫外LED素子内で実現できる。従って、サファイア(Al2O3)基板などの異種基板を利用する従来の手法に対し、素子寿命やデバイス信頼性などにおいて高い優位性を有している。

図1 AlGaN系深紫外LEDのデバイス構造
NICTの資料。
[画像のクリックで拡大表示]

 現在、深紫外LEDの効率向上を阻害している最大の課題の1つは、極めて低い光取り出し効率である。これは透明な電極を形成することが困難であるという、発光エネルギーの高い深紫外LED特有の問題である。p型GaNコンタクト層での内部吸収や基板界面・表面での全反射などによって、光を外部に取り出すことが難しく、活性層で発光した光の大部分が熱エネルギーに変換されてしまうことが原因である。

 特に、単結晶AlN基板はサファイア基板などに比べて屈折率が大きく(n=2.29。波長265nmの場合)、臨界角が小さくなり(25.9度)、極めてわずかな光しか外部に取り出すことができない。3次元時間領域有限差分(3D-FDTD)法による理論計算の結果、p型GaN層の吸収なども考慮すると、AlN基板のフラット表面(光取り出し面)側から取り出せる光の取り出し効率は、約4%と極めて低い値となる。

 この光取り出しの問題が主因となり、これまで極めて低い外部量子効率および出力しか得られていない。逆にいえば、深紫外LEDの効率向上に関して、96%もの部分が光取り出し効率の向上にかかっているといえる。この効率の問題を改善できれば、熱エネルギーに変換される割合も減少するため、出力はもちろん、素子寿命や信頼性についても大きく改善される。

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