ネット販売大手の米Amazon.com(アマゾン)社は3月2日、2020年までに世界50カ所の物流施設の屋上に太陽光パネルを設置すると発表した。

太陽光パネルを屋上に設置している米アマゾンの物流施設
太陽光パネルを屋上に設置している米アマゾンの物流施設
(出所:Amazon.com/P2 Photography)

 まず2017年末までに米国内15カ所で太陽光発電設備の導入を完了し、発電を開始する計画。パネルの設置容量は合計で41MWに達する。これら15カ所は、カリフォルニア、ニュージャージー、メリーランド、ネバダ、デラウェアの5州にある同社の物流施設である。

 同社の保有するフルフィルメント(配送)センター(FC)や倉庫の規模から概算すると、各施設で消費する電力需要の最大80%を太陽光パネルによる発電で賄えるという。ただし、この自給率は、各プロジェクト内容や開始時期、その他の要因によって左右される。

 例えば、カリフォルニア州北部のシリコンバレー近郊にあるパターソン(Patterson)FCの屋上の面積は110万平方フィート(約10万2000m2)と、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設が十分に可能である。パターソンFCでは、屋上面積の75%以上に太陽光パネルを設置しているという。

 アマゾンは太陽光だけでなく風力発電にも取り組んでいる。最近の再エネ開発事例としては、同社として最大となる風力発電所がテキサス州で運転を開始したという。これ以外にもインディアナ、ノースカロライナ、オハイオ、バージニアの各州にある風力や太陽光の発電所が、「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」のデータセンターに電力を供給している。

 AWS社はアマゾンの系列企業で、クラウド・コンピューティング事業を展開している。消費電力の大きいデータセンターを数多く保有・運用していることから、近年、環境負荷の低い再エネによる電力の調達に取り組んでいる(関連記事1)。

 一方、アマゾンによる再エネ開発の取り組みに対しては、情報の透明性に課題があり、同社の進出した市場によっては再エネ調達が遅れているなどの指摘もある(関連記事2)。