「DCリンク」に変更して個別協議が成立

 太陽光発電と蓄電池の接続形態に関し、林建設は、2015年段階で、「AC(交流)リンク」と呼ばれる方式を提案していた。これは、太陽光パネルと蓄電池それぞれに専用のPCSを設置し、パネルからの直流と蓄電池からの直流を個別に交流に変換してから合成し、系統連系する仕組み。

 九電は、当時、「ACリンク」は、認めないとの回答だった。理由は、系統からの電力を蓄電池に貯めて売電するという運用が容易になる、という解釈だった。そこで、林建設は、「DC(直流)リンク」方式に変更した。これは、太陽光パネルと蓄電池が1つのPCSを使う方式で、蓄電池とPCSはDC/DCコンバータを介して直流のまま入出力する。

 「DCリンク」に変更したことで、2016年1月29日に九電との個別協議が成立し、4月に「蓄電池による売電申請」を前提に接続検討に入り、9月に連系承諾を得た。これによりメガソーラー建設のめどが立ったことから、林建設は、伊佐市に対し、蓄電池併設によるコスト増という状況を説明し、地代減額を申請し、2017年1月に認められた。

 こうした経緯から、「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」は、全国でも珍しい「DCリンク」による「蓄電池併設型メガソーラー」となった。北海道稚内市で実証的に運用している蓄電池併設メガソーラーは、「ACリンク」が採用され、現在、道内で計画が進んでいる蓄電池併設メガソーラープロジェクトもすべて「ACリンク」となっている。