IRRは5%弱を確保

 6.5MWhもの大型蓄電池の導入で、建設費用は、通常のメガソーラー事業の2倍以上になったものの、買取価格36円/kWh案件の認定を取得し、補助金を活用できたことで、IRR(内部収益率)は、5%近くとなり、「企業の事業として損しない程度になった」(林社長)という。

 同社・ソーラー事業部の山下剛部長は、「九電からDCリンク方式を求められためにシステム開発に時間がかかったものの、太陽光の電力を直流のまま充電することで、システム効率が向上した。いまのところ充放電による損失(ロス)は10%程度に収まっている」と話す。また、LG化学製の蓄電池は、同社と20年間の性能保証契約を締結しているため、「蓄電池の劣化や交換によるコストアップのリスクはない」(山下部長)

 システム構築を担当したYAMABISHIでは、今回のプロジェクトを契機に「系統出力変動対策用蓄電システム」として、従来の蓄電システムの新機能として製品化した。DCリンク方式の採用で、ACリンク方式に比べ最大10%の効率改善が見込め、系統周波数の改善に貢献する「短周期変動」対策と、時間単位の需給バランス改善に寄与する「長周期変動」対策の両方に対応できるとしている。