PCSとパワーオプティマイザー、遠隔監視・制御システムの組み合わせで発電量を最適化
PCSとパワーオプティマイザー、遠隔監視・制御システムの組み合わせで発電量を最適化
米国などでは、蓄電池との連係制御システムを展開している(出所:日経BP)
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太陽光パネルの裏へのパワーオプティマイザーの取り付け例
太陽光パネルの裏へのパワーオプティマイザーの取り付け例
パネルはドイツAXITEC Energy社製。国内販売はドイツKrannich Solar社の日本法人が担当(出所:日経BP)
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 米国のパワーコンディショナー(PCS)メーカーであるSolarEdge Technologies社は、「スマートエネルギーWeek 2016」(2016年3月2日~4日開催)に、PCSや「パワーオプティマイザー」と呼ばれる電圧最適化装置などを出展した。

 同社は、米国を起点に、パワーオプティマイザーの市場を開拓、拡大していることで知られる(関連ニュース1)。

 PCSは、今回の出展を機に、日本での販売を開始する。日本では、出力24.75kW機、同33.3kW機の2機種を販売する。出力24.75kW機は、日本において開発案件が多い、低圧連系の出力50kW弱の太陽光発電システムを主なターゲットに展開する。

 SolarEdge Technologies社は、米国を中心に、住宅用や小規模な発電事業用だけでなく、小出力のPCSを使った分散制御型のメガソーラーでも広く採用されているという。世界での販売実績は、累計2.5GWとなっている。日本でも、低圧と高圧に連系する太陽光発電所に拡販していく。

 特徴は、PCSとパワーオプティマイザー、太陽光パネル段階での遠隔監視・制御システムまで一貫供給する点にある。

 パワーオプティマイザーは、一般的な太陽光パネルが裏面に備えるジャンクションボックスの代わりに取り付ける。ジャンクションボックスの役割に加え、通常はPCSが担う最大電力点(MPPT)制御、DC/DC変換器の機能を持つ。MPPT制御は、最大電力点となる電流と電圧で太陽光パネルの出力を制御する機能で、通常はPCSが担っている。

 太陽光パネルごとにMPPT制御する利点は、パネルごとに最大電力点で出力できることにある。これに対し、パネルの向きや角度が違ったり、影などにより、出力が大きく異なるパネルが1台のPCSに入力している場合、出力の低いパネルに合わせてMPPT制御することになる。この場合、高く出力できる状態のパネルは、出力が抑えられ、本来持っている発電能力を生かせない可能性もある。

 ただし、パワーオプティマイザーを追加することになり、導入コストは高くなる。これについては、三つの利点で、20年間の売電期間を通じた費用対効果で上回るのではないかとしている。

 一つ目は、パワーオプティマイザーがMPPT制御などを担うことで、PCSの機能を直流から交流への変換に絞ることができ、PCSが簡素になることで、PCSの導入コストが下がること。二つ目は、パネルごとのMPPT制御による売電額の増加効果、三つ目はパネルの出力異常を見つけやすく、O&M(運用・保守)のコストを低減できることである。

 導入コストは、複数枚の太陽光パネルでパワーオプティマイザーを共用する方法によって軽減できるという。この場合、太陽光パネルのジャンクションボックスはそのまま使い、複数枚の太陽光パネルの送電ケーブルを、1台のパワーオプティマイザーに接続する。

 こうしたSolarEdge Technologies社の取り組みは、米国などにおいて、PCSとパワーオプティマイザー、遠隔監視・制御システムの組み合わせを生かした、太陽光発電と蓄電池の連係制御システムでも注目されている。米テスラモーターズの住宅用蓄電池「Powerwall」にも対応している。

 このシステムは、太陽光発電電力を最大限に使い、住宅などでの電力購入費を最小化できることを売りにしている。太陽光発電電力は、パワーオプティマイザーから直接、蓄電池に貯めることができ、PCSを介す必要がない。パワーオプティマイザーが備えるDC/DC変換器で、蓄電池への入力に最適な電圧に制御して実現している。売電時や住宅内の家電などでの電力利用時のみ、PCSを通して出力する。