国土交通省と環境省は、自動車の排ガスに対する路上走行試験の導入について検討に入る。両省は、2015年秋のドイツVolkswagen社による排ガス不正問題を受けて、日本国内で販売されているディーゼル車から8車種を選定し、これらについて排ガスの路上走行試験を実施してきた。その結果、JC08モードによる台上試験のときの窒素酸化物(NOx)の排出量に対し、路上試験での同排出量は一部車種を除いて「2~5倍程度から最大で10倍程度のかい離」があることが分かった(図)。これを受け、両省は「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」を通じて、日本国内において路上走行試験を導入すべきかどうかの検討に入る。国交省によれば、2017年春ごろの決定を目指している。

国道交通省と環境省が実施したディーゼル車の排出ガス路上試験の結果
図 国道交通省と環境省が実施したディーゼル車の排出ガス路上試験の結果
窒素酸化物の排出量を表したもの。両省の「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」向けの資料より。
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 乗用車の排ガスの路上走行試験については、欧州連合(EU)が2017年9月からの導入を決めている。RDE試験と呼ばれるもので、EUの次期排ガス基準である「Euro 6d-TEMP」(新型車では2017年9月適用開始予定)から導入される見込みだ。両省は、この次期規制を参考に日本における路上走行試験について検討を実施する。通常の規制値の強化と同様であれば、規制の適用は早くとも4~5年先にになると見られる。