米国の商務省が、台湾から輸入される太陽光パネルに課しているダンピング防止税の変更を発表した。台湾の調査会社TrendForceのEnergyTrendが3月3日に発表したもの。
暫定的な結果によると、米商務省は台湾の太陽光パネル製造企業に課しているダンピング防止税の大幅な引き下げを決定しているという。
2016年までのダンピング防止税では、最高税率が27.55%、最低税率が11.45%、それ以外の大半の企業に適用される税率が19.5%だった。
今回の変更により、新しいダンピング防止税は最高でも4.2%まで引き下げられ、最低税率は3.5%、大半の企業に適用される税率は4.09%になるという(表)。
EnergyTrendによると、最低税率となる3.5%が適用されるのは、シノーアメリカン・シリコン・プロダクツ(Sino-American Silicon Products:SAS)社とソーラーテック・エナジー(Solartech Energy)社の2社。
価格協議に参加していないNeo Solar Power(NSP)社やTainergy社に対しては、昨年までの税率である19.5%が引き続き適用されるという。
EnergyTrendのアシスタント・リサーチ・マネージャーを務めるCorrine Lin氏は、中国の大手で垂直統合型の太陽光パネルメーカーの多くが、過去2年間にパネルの製造拠点を中国から東南アジアにシフトし、ダンピング防止税を回避したことが、今回の米商務省の決定の背景にあると指摘する。
同氏は、「米国におけるメガソーラー(大規模太陽光発電所)向け多結晶シリコンパネルの平均価格は、現在0.35~0.37セント/Wまで下落している。この状況では、ダンピング防止税が大幅に引き下げられた台湾メーカーの競争力が、中国から海外に製造拠点を移転したメーカーより高まるとは必ずしも言えない」と述べている。
一方、ダンピング防止税が軽減された台湾の太陽光パネルメーカーは、より単価が高く、まだ中国の大手メーカーが海外での製造能力を増強していない単結晶シリコンやPERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)技術などに基づく太陽光パネル製品で効果的に事業を展開でき、利益を得られるだろうとみる。
米国における住宅用太陽光発電向けの単結晶シリコンPERC太陽光パネルの平均価格は、現在、0.38~0.45セント/W程度という。
利益率の高い単結晶シリコンやPERCに太陽光パネル事業の軸足をシフトする動きは、既にドイツのSolarWorld社などが明らかにしている (関連記事)。