三菱電機は、工場のIoT(Internet of Things)化を支援する「FA-ITオープンプラットフォーム」を新たに提案する(ニュースリリース)。他社製を含むさまざまなFA機器やITシステムと接続可能なものであり、工場全体の管理を実現できるようになるという。新プラットフォームに向けてサードパーティー企業が自由にアプリケーションを開発できる場を用意するなど、「エコシステムの構築も目指す」(三菱電機常務執行役でFAシステム事業本部長の漆間啓氏)。

新プラットフォームの概要
新プラットフォームの概要
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 新プラットフォームは、コントローラーやアクチュエーターなどのFA機器で構成された生産現場と、ERP(Enterprise Resource Planning)システムやMES(Manufacturing Execution System)などのITシステムをつなぐための、エッジコンピューティングを核としたソフトウエア。生産現場のデータを収集・分析してITシステムに引き渡したり、分析結果を生産現場にフィードバックしたりする。具体的な運用方法としては、新プラットフォームの基本的な機能を提供するソフトウエア(基本ソフトウエア)を、高性能な産業用PC(IPC:Industrial PC)上で稼働させることを想定している。

 基本的な機能としては、[1]生産現場のデータを収集する「データコレクト機能」、[2]生産現場のデータモデルを構築する「データモデル管理機能」、[3]さまざまなクラウドに接続するための「ゲートウエー通信機能」、の3つがある。そのうち[1]については、前述の通り、さまざまなFA機器やITシステムと接続できることを特徴としている。

 [2]は、生産現場におけるライン/装置/機器の構成を分かりやすく定義・整理するものである。ライン/装置/機器の階層関係をデータモデルとして持つことで、上位のITシステムやアプリケーションにおいて手軽に生産現場のデータを扱えるようになるという。「データモデルは、ドイツの『インダストリー4.0(Industrie 4.0)』における『管理シェル(ドイツ語ではVerwaltungsschale)』に相当するものだが、装置単位ではなく装置を構成する機器単位で見られるという意味では管理シェルを超えた概念といえる」(三菱電機の漆間氏)。

データモデルの概念と活用イメージ
データモデルの概念と活用イメージ
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 [3]は、クラウド環境に置かれたITシステムやアプリケーションなどと接続する機能である。OPC UAやHTTPSなど多様な通信方式に対応する予定だという。