積雪期の施工にも工夫
積雪期の施工にも工夫
(出所:LS産電)
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 韓国の電気設備メーカーであるLS産電は、スマートグリッドExpo(3月1日~3日開催)において、北海道で受注している国内最大級の蓄電池併設型メガソーラー(大規模太陽光発電所)の概要を公表した。出力約28MWの太陽光発電設備に、容量約14MWhの大型蓄電池を併設する。

 同社は電気設備の経験を生かし、太陽光発電向けでも連系設備やリングメインユニット(関連コラム)、パワーコンディショナー(PCS)、集電箱、接続箱、太陽光パネルなどを供給するとともに、EPC(設計・調達・施工)サービス、O&M(運用・保守)を手掛けている。

 北海道でのプロジェクトは、千歳市の新千歳国際空港の近くに立地する。発電事業者は、韓国電力公社のほか、日本の再エネ関連開発・エンジニアリング企業であるエネルギープロダクト(東京都千代田区)となる(関連ニュース1)。

 エネルギープロダクトの開発した案件に、韓国電力公社が加わることで資金面などの課題を満たし、事業化した。韓国産業銀行などが融資する。

 面積約108万m2の土地に、約13万枚の太陽光パネルを並べる。

 2016年4月20日に起工式を開催しており、2017年7月に完成する予定。積雪期にも施工できるように、基礎の工法などを工夫したとしている。

 買取価格は40円/kWh(税抜き)で、稼働後は北海道電力に売電する。

 このメガソーラーのEPCとO&Mを、LS産電が担当する。施工の一部は、LS産電からエネルギープロダクトに発注している。

 PCSの定格出力28MWに対して、太陽光パネルの設置容量は39MWとなっている。併設する蓄電池システム(ESS)の容量は13.77MWhとなる。

 北海道電力では、接続申し込みが400MWを超えた分の2MW以上の大型太陽光発電設備については、連系の条件として、蓄電池を併設して、急峻な出力変動を緩和することを求めている。具体的には、メガソーラー出力の変動幅を、蓄電池の充放電制御と連係した合成出力で、1分間にPCS定格出力の1%以内に収めるという指標を示している。

 こうした北海道電力の要請に対応して、複数の蓄電池併設型メガソーラーが道内で動き出している(関連ニュース2)。千歳市のプロジェクトは、そのなかでも最大規模となる。

 定置型蓄電池システムや太陽光発電用のPCSは、スイスABBが納入する(関連ニュース3)。

 LS産電によると、EPCサービスを担当する際、自社のPCSなどに変更しなかったのは、プロジェクトの進行の都合上、エネルギープロダクトが経済産業省から取得した設備認定時の内容のまま開発を進めているためとしている。

 LS産電は、韓国で蓄電池併設の太陽光発電所を多く手掛けており、出力約100MWの納入実績があるという。自社で蓄電池システムを納入する場合、韓国サムスンSDI製や韓国LG化学製の蓄電池を採用している。