水素エネルギー利用システムの概念図 
水素エネルギー利用システムの概念図 
(出所:清水建設)
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 清水建設は2月29日、産業技術総合研究所と共同し、施設内で使用する太陽光などの再生可能エネルギーの余剰電力を水素として貯蔵し、必要に応じて電気に変える水素エネルギー利用システムの研究開発に着手したと発表した。

 太陽光発電の余剰電力で水を電気分解して水素を製造し、水素吸蔵合金により水素を貯蔵。必要に応じて、水素を放出させて酸素との化学反応により電気と熱を取り出す。今回の共同研究では、建物付帯型のコンパクトで安全な水素エネルギー利用システムの開発に取り組む。

 水素の貯蔵については、産総所が研究してきた水素吸蔵合金をベースに合金材料や配合比を最適化し、最大で体積の1000倍の水素を吸蔵するという合金の特性を最大限に生かし、コンパクトかつ安全な貯蔵手段を確立する。そのうえで、清水建設が開発した「スマートBEMS(ビルエネルギー管理システム)」により、再エネの発電状況と建物の電力・熱需要を勘案して、水素の製造、貯蔵、放出などを制御する技術を確立する。

 共同研究期間は2年間の予定で、今後、産総所の福島再生可能エネルギー研究所(FREA)を拠点に研究活動を推進する。計画では、約2億5000万円を投じて、2016年秋までに実証システムを構築し、2018年3月まで実証運転を行う。その後、実証運転で得た各種データをフィードバックしてスマートBEMS制御の水素エネルギー利用システムを完成させ、2020年までに建物、街区への導入を目指す。