APACマーケティングマネージャーの久保法晴氏
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TCOの考え方
TCOの考え方
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 日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、2017年3月3日、制御システムなどのテストを自動的に行うテストシステムの展望についてまとめた「Automated Test Outlook(ATO) 2017」を発表するとともに、都内で記者説明会を開催した。

 登壇した同社APACマーケティングマネージャーの久保法晴氏は、「これまでテスト部門はコストセンターとして扱われがちだった。しかし、IT部門がかつてのコストセンター的扱いから、TCO(Total Cost of Ownership)の評価を経て今では企業に必須の戦略的役割を担っているように、テスト部門も戦略的資産を高める上ではTCOの評価が重要」と語った。テストシステムのTCOは大きく、開発コスト、導入コスト、運用コストから成るが、新規導入の際は、どうしても開発コストや導入コストが目立つため導入を躊躇してしまうケースが多いという。しかし、「運用コストも含めて投資対効果を考えるべき」(同氏)と強調する。

 例えば、軍用のマルチバンド無線機などを開発・製造する米Harris社は、1台ずつテストする既存設備ではスループットが上がらず多機能無線機のニーズの高まりに対応できなくなっていた。そこで、高スループットの新しいシステムをベースにTCOを評価したところ、既存システムを増設するのに比べて、投資コストを大幅に抑えながらテストコストと設置面積を削減し、出荷量の増加にも対応できると判断して新システムを導入したという。実際には、テストシステムのスループットは4倍に向上し、新システムの開発・導入コストは3カ月ほどで回収できたという。

 「初期導入コストだけに着目すると適切な判断ができなくなるが、TCOを毎年積算して評価することで適正に判断できる」(久保氏)。特に、評価のポイントとなるのは、投資回収期間(=初期投資コスト/新システム導入による年間の削減コスト)と、ROI(Return on Investment)〔=(旧システムのTCO-新システムのTCO)/新システムのTCO)という。スループットや投資コストなどをパラメータとした最悪のケースと最善のケースでそれぞれの2つの指標をシミュレーションすることで、新しいテストシステムを導入すべきかどうか判断できるとしている。