クレジットカード運営大手の米マスターカードとオフグリッドの太陽光発電サービスを提供するケニアM-KOPAは2月26日、アフリカの未電化地域で電力を供給する事業で業務提携すると発表した。

 スペインのバルセロナで3月1日まで開催中の「モバイルワールドコングレス(MWC)2018」で公表した。

 M-KOPAは現在、オフグリッド太陽光発電による電力サービスをケニアなど東アフリカ地域の300万人に提供している。

 同社の電力サービスは、「PAYG (Pay-As-You-GO)」方式のアフリカにおける先行事例として知られる(関連記事1)。携帯電話のアカウントを利用し、暗証番号で保護されたSMS(携帯電話のメール)によって支払いや決済を行うことが特徴。

 顧客は10W程度の太陽光パネル、12Vの蓄電池、LED電球、携帯電話のUSB充電器などがセットになったものをまとまった初期費用なしで導入し、毎月少額を返済することで残債の支払いに充てたり、他の電化製品を購入したりできる。

 今回の提携によって、同社はマスターカードの「クイックレスポンス(QR)・ペイメント」技術をウガンダで試験的に導入、サービスを提供開始する。QRペイメントは、携帯電話やスマートフォンで普及している「QRコード」により支払いや決済をする仕組み。

 これまでM-KOPAが提供していたPAYGの支払い方法に新しい選択肢を加えるもので、主にケニア以外への業務拡大を見込む。マスターカードのQRペイメントは現在、ウガンダの他にガーナ、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、タンザニアで利用可能という。

 QRペイメントを採用している携帯電話事業者や金融機関のネットワークを活用することで、M-KOPAにとっては多額の投資をすることなく、アフリカにおけるオフグリッド電力サービス事業の拡大や成長が可能となる利点がある。

 ウガンダでの試験的な導入が順調に推移した場合、両社は東アフリカの他の地域でもサービスを拡大していく計画という。

 現在、世界人口の約16%、12億人が未電化またはそれに近い状態にある。サハラ以南のアフリカだけでも、6億2500万人が未電化で暮らしており、照明や調理で薪炭や灯油に依存しているという(関連記事2)。