試作機を展示
試作機を展示
(出所:日経BP)
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圧縮空気とアルカリイオン水を噴射して汚れを落とす
圧縮空気とアルカリイオン水を噴射して汚れを落とす
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 太陽光発電所のメンテナンスサービス関連を手がけるGolden Leaf-Works(東京都江東区)は、太陽光発電システム施工展(3月1日~3日開催)において、太陽光パネルの洗浄ロボット「Air Washer」を出展した。

 1台で、1日あたり約1MW分の太陽光パネルを洗浄できるとしている。4月から、この洗浄機を使ったパネル洗浄サービスを開始する。

 太陽光パネルの表面には、埃や黄砂、鳥の糞などによる汚れが付着する。汚れがひどくなると、発電効率が低下する恐れもある。

 同社では、こうした汚れを取り除くことで、発電所全体の売電量をより増加させることを望む発電事業者に対して、2015年以降、油圧ショベル(ショベルカー)のアームの先端にブラシを取り付け、パネルの洗浄サービスを展開してきた。15カ所の太陽光発電所で、定期的にパネルを洗浄しているという。

 この洗浄サービスは、北海道などで提供してきた。北海道などの積雪地域では、パネル上から雪が滑り落ちやすくする目的で、パネル設置角を高くしている。これによって、最高部から北方向に伸びる影が長くなるため、アレイ(太陽光パネルを架台に設置する単位)の前後の間隔が広くとられている。油圧ショベルが通るのに十分なスペースがある。

 しかし、積雪の少ない地域になるほど、列間は狭くなるため、同社によると、岩手県一関市より南では、この手法では洗浄サービスを提供できなかった。

 そこで、アレイの前後の間隔が狭くても、パネルを洗浄できる手法として、洗浄ロボットを開発した。

 洗浄にブラシを使わないことも特徴となっている。圧縮空気をパネルの表面に吹き付けて、汚れを落とす。これだけでは落ちないため、圧縮空気と一緒に、アルカリイオン水をノズルから噴射する。

 砂漠などの地域では、圧縮空気だけで十分に汚れが落ちる。

 洗浄費は、パネル1MW分あたり50万円(税抜き)からとしている。油圧ショベルを使った場合と同額という。この価格には、洗浄費・水の手配費・諸経費は含むが、搬送費は含んでいない。

 今回、出展したのは試作機で、今後、洗浄サービスの委託を検討する太陽光発電所において実演していく予定。金属部品を樹脂部品で置き換えていくことなどにより、実際の洗浄サービスに使うロボットの重量は、試作機の約60kgから半分程度に軽量化される見込み。

 軽量化によって、パネル表面にかかる応力が小さくなり、セル(発電素子)へのマイクロクラック(微細な割れ)の発生を低減できる。