ヤマトホールディングス傘下のヤマトロジスティクスは2017年4月から、医療機関向けの「カルテ保管サービス」を開始する(ニュースリリース)。中小規模の医療機関や廃院予定の医療機関が所有するカルテ原本を、最大10年まで保管する。対象は紙の診療録とX線写真で、電子データは対象にしない。東京エリアでサービスを始め、順次エリアを広げる。

 ヤマトグループはかねて「機密文書リサイクルサービス」を提供してきた。オフィスなどで発生する機密文書を専用ポストやBOXで安全に回収および処理したり、保管期間まで専用書庫で安全に保管したりするサービスである。カルテ保管サービスはその新しいサービスとして提供するもので、カルテを定められた期間保管し、その後確実に廃棄してほしいという要望を中小の医療機関から多く受けたことに対応するものという。

カルテ保管サービスのイメージ図
カルテ保管サービスのイメージ図
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 医療カルテの保管に関しては、医師法など複数の関係法令や省令が存在する。ヤマトロジスティクスは、同社が検討している運用内容がそれらに抵触しないかどうかについて、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度を活用して経済産業省に照会済み。厚生労働省と経済産業省から2017年1月27日付で、関係法令および省令に抵触しないとの回答を受けたという。

 今回のサービスでは、確実なセキュリティーの下、カルテの保管に使うダンボールを箱単位で在庫管理する。必要に応じて、ヤマトロジスティクスの倉庫から箱単位でカルテの現物を取り寄せることが可能。特定のカルテが緊急で必要になった場合は、対象のカルテを原本で発送してもらったり、電子ファイル化して送付してもらうこともできる。保管期限到来後は未開封のまま溶解処理工場で処分し、溶解完了証明書を発行する。

 厚生労働省のガイドラインに準拠した保管体制をとり、稼動中の医療機関のほか、廃院後のカルテの保管にも対応。最大10年までの一括保管契約が可能である。保管に使う倉庫は、入室時の指紋認証や監視カメラなどで厳重に管理しているという。