米Keysight Technologies社は、日本での価格が6万円台からのローエンドオシロスコープ「InfiniiVision 1000Xシリーズ」を発表した(日本語ニュースリリース)。これを受け、日本法人のキーサイト・テクノロジーは東京で報道機関向け新製品発表会を2017年3月2日に開いた。
登壇したキーサイトのチエ ジュン氏(職務執行者社長)は、「"高値"の花じゃない 本格派オシロスコープ」という新製品のキャッチコピーを紹介した。同氏によれば、Keysightは計測器業界で売上額No.1、オシロスコープ全体でも売上額No.1だが、ローエンド(数万~10万円程度)のオシロスコープでは台数ベースのシェアが低い。その状況を打破するために投入したのが、今回の新製品である。
ジュン氏が言うように、米Hewlett-Packard社や米Agilent Technologies社時代を通じて、Keysightは計測業界で売上額No.1である。高精度なハイエンド機種が同社のウリモノで、リファレンス機となっている製品も少なくない。ところが10年程前まで、オシロスコープの売上高ではNo.1ではなかった(No.3だったらしい)。オシロスコープは計測器市場で最も金額が大きく、その意味では花形の製品である。
そこで10年程前にオシロスコープにテコ入れを図ることが決まった。まず、同社が強いハイエンド側から製品を投入した。測定機能に加えて豊富な解析機能を備える「Infiniium」系列の製品がそれである。同社はInfiniiumとは別の系列のオシロスコープも持っている。Infiniiumよりも基本的に安価で測定機能を重視した「InfiniiVision」である。今回の新製品はInfiniiVisionのローエンド製品になる。「ハイエンド側から戦略製品を投入し、今回の新製品が最後のコマになる」(ジュン氏)。
同氏によれば、InfiniiVision 1000Xシリーズが属するローエンド(数万~10万円程度)のオシロスコープは、台数ベースでオシロスコープ市場全体の9割を占める。「そこで知名度を上げて、オシロスコープでもKeysightを選んでもらえるようにしたい」(同氏)。