都内の太陽光発電設備の推移 (単位:千kW)
都内の太陽光発電設備の推移 (単位:千kW)
(出所:東京都)
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 東京都は2月19日、「都内で利用する再生可能エネルギーによる電力の割合を2030年までに30%程度に拡大する」という新しい目標を掲げる方針を固めた。東京都環境審議会(会長:田辺新一早稲田大学教授)が、「東京都環境基本計画のあり方について」と題した答申をまとめ、その中に織り込まれた。

 都内における再エネ由来電力の割合は、2014年度で電力消費量の約8.7%に留まっている。ただ、固定価格買取制度(FIT)により近年、太陽光が大幅に伸びており、2013年度実績で約35万kWと、2008年度比で約6倍に増えた。今回の答申では、「2030年まで都内の太陽光発電設備を130万kW(1.3GW)導入する」との目標を示した。

 東京都は2014年11月、「東京都再生可能エネルギー拡大検討会 報告書」を公表し、2024年までに都内の電力消費に占める再エネ割合を20%に高めるという目標を決めた。具体的には、2024年までに都内の太陽光発電導入量を100万kW(1GW)、2020年までに都有施設への太陽光発電導入量を22MWとしていた。

 今回の答申では、太陽光の利用拡大に向け、「東京ソーラー屋根台帳」の活用など「さまざまな情報発信、業界団体と連携した普及啓発などを進めていく必要がある」と指摘したほか、「駐車場の屋根を活用したソーラーカーポートなど未利用空間の活用、 『シティチャージ』の導入など、東京の特性を踏まえた活動を進めるべき」と提言した。

 加えて、「電力の大消費地として、需要家(消費者側)からの取り組みにより再エネの供給拡大を促していくことも重要」とし、「電力小売りの全面自由化も踏まえ、再エネ電力の『見える化』を進めるなど、消費者への適切な情報提供を行うことで、再エネの選択意欲を喚起するために普及啓発を進めていくことも重要」と提言した。

 政府は2015年7月、2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)を含む「長期エネルギー需給見通し」を決定し、そのなかで「再生可能エネルギーの比率22~24%」を織り込んだ。東京都の目標は、国の決めた再エネ導入見込みを上回ることになる。