イタリアの大手電力会社であるエネル(Enel)は2月20日、ドイツのブランデンブルク(Brandenburg)州Cremzowに出力22MWの定置型蓄電池プラントを建設すると発表した。

 エネルの蓄電池プラントとしてドイツでは初となる。総投資額は約1700万ユーロ。同社グループのドイツ現地法人であるEnel Green Power Germany(EGPドイツ)を通じて建設を進める。

 同蓄電池プラントの建設は、エネルとドイツの風力発電事業者であるENERTRAG、スイスの蓄電池メーカーであるルクランシェ(Leclanché)との共同プロジェクトとして進める。

 同プロジェクトを推進するために特別目的会社(SPV)を設立する。エネルが90%、ENERTRAGが10%を出資し、同SPVが蓄電池プラントの所有者となる。

 ルクランシェは同プロジェクトのEPC(設計・調達・施工)サービスを担当し、蓄電池やパワーコンディショナー(PCS)とエネルギー管理ソフトウェアを統合する(関連記事1)。

 同プロジェクトでは最初の2MWを2018年4月に稼働させ、蓄電池プラント全体の稼働は年内を見込む。

 同蓄電池プラントは、ドイツのアンシラリー市場の一つ、PCR(Primary Control Reserve)に参加する。PCRは、0~30秒という短時間に自動で周波数の調整力を供給するもので蓄電池が向いている。また、同蓄電池プラントは今後、ENERTRAGの風力発電所と統合されるとしている。

 ドイツでは再エネが急速に拡大し短周期変動への対策が課題となっており、ドイツ国内の独立送電事業者(TSO)がPCRなどのアンシラリー市場から調整力を調達することで、系統電力を安定化している(関連記事2)。

 ドイツのPCR市場は近年、取り引きが活発化している。2017年前半のPCR入札では約600MWの調整力に対して、オーストリア、ベルギー、フランス、オランダ、スイスから入札者があり、同市場が国境を越えた人気を持つことが確認されている。

 定置型蓄電池システムの導入は、ドイツのPCR市場において重要な位置づけとなっている。2017年に同市場では約200MW、市場の約31%に相当する調整力が蓄電池によって供給されたという。