覚書にサインするTuaropaki Trust社長(左)と大林組の白石社長(右)
覚書にサインするTuaropaki Trust社長(左)と大林組の白石社長(右)
(出所:大林組)
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神戸ポートアイランドでの実証事業のイメージ
神戸ポートアイランドでの実証事業のイメージ
(出所:大林組)
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 大林組は2月14日、ニュージーランドTuaropaki Trust社との間で、地熱発電の電力を利用した「CO2フリー水素」の製造・流通の共同研究に関する覚書を締結したと発表した。将来的に国内外でCO2フリー水素関連事業に参画するためのノウハウを収集する。

 これまで大林組は、2016年4月にニュージーランドの地熱調査会社MB Century社と地熱発電に関する相互協力協定を締結。同社の親会社であるTuaropaki Trust社と、同国における地熱電力を利用したCO2フリー水素製造および流通の事業可能性について検討してきた。Tuaropaki Trust社は、傘下に地熱発電子会社(発電能力113MW)を持ち、17年間にわたって安定的に運転してきた実績がある。

 今回、Tuaropaki Trustグループから電力の安定供給が見込める地熱発電を利用して、年間100t程度のCO2フリー水素を製造・貯蔵・運搬し、市場への流通経路や需要先の開拓までの各段階について共同研究・実証する。燃料電池自動車(FCV)1台が1年間に1万km走行すると想定した場合、年間で1000台分の燃料が賄える製造量となる。

 なお、大林組は国内でも水素関連事業に関する実証実験に参画しており、2017年12月には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業として川崎重工業と共同で、市街地で水素によるコージェネレーション(熱電併給)システムの実証プラントを神戸ポートアイランド地域に完成させた。

 この実証試験では、水素を燃料とする1MW級ガスタービン(水素コージェネレーションシステム)から発生させた熱や電気を、病院などの近隣4施設に供給。地域コミュニティ内でエネルギー利用を最適化する統合型エネルギー管理システム(統合型EMS)を検証する。2018年1月下旬から実証運転に取り組み、2月上旬から近隣施設に熱と電気を試験的に供給し始める。