日本IBMとソフトバンクは2016年2月18日、認知型(コグニティブ)コンピューティングシステム「IBM Watson」のアプリケーション開発に利用できる6種類のAPI(Application Programming Interface)の日本語版の提供を始めた(プレスリリース)。IBM Watson(以下、Watson)の能力を使った、日本語版アプリケーションの開発が可能になる。同日、東京都内で発表会を開催した。

向かって右から順に、IBM社 Senior Vice President, Watson Business DevelopmentのMike Rhodin氏、ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏、日本IBM 代表取締役社長のポール与那嶺氏
向かって右から順に、IBM社 Senior Vice President, Watson Business DevelopmentのMike Rhodin氏、ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏、日本IBM 代表取締役社長のポール与那嶺氏
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 登壇した米IBM社 Senior Vice President, Watson Business DevelopmentのMike Rhodin氏が、Watsonの日本での活用に期待を示した分野の1つが医療・ヘルスケア。医用画像のような非構造化データを含めて膨大なデータが蓄積されつつあり、Watsonの能力を生かせる分野だとした。

 日本語版の登場により、例えば日本語で記述された医療情報の分析にWatsonを利用できるようになる。具体的には、自然言語分類(Natural Language Classifier)や対話(Dialog)、検索およびランク付け(Retrieve and Rank)、文書変換(Document Conversion)、音声認識(Speech to Text)、音声合成(Text to Speech)などの機能を実装したアプリケーション開発が可能だ。

 米国やタイでは既に、Watsonのがん診断支援などでの活用が始まっている。Rhodin氏は日本でも(まずは英語版の)Watsonを使って、東京大学 医科学研究所とがんゲノム解析分野の共同研究を進めていることを紹介した(関連記事)。Watsonは、医療従事者が読もうとすれば「1カ月半かかっていた量の文献を20分で読める。がん細胞に関する数十万件のデータから、(重要な)数個のデータを選ぶようなことも可能だ」(日本IBM 執行役員 ワトソン事業部長の吉崎敏文氏)。

 日本における顧客・パートナーとして登壇した5社のうち2社が、ヘルスケア・医療分野。IBM社がこの分野に寄せる期待の高さが表れていた。