経産省が公表したFIT見直しのポイント 
経産省が公表したFIT見直しのポイント 
(出所:経産省)
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 経済産業省は2月9日、固定価格買取制度(FIT)の見直しに関する法改正案を閣議決定したと発表した。第190回通常国会に提出され、一部を除き2017年4月1日に施行される見通しだ。

 改正案が施行された場合、主な変更点は以下となる。

 設備を認定する現行の認定制度から、発電事業自体を認定する新認定制度に移行する。新認定制度では、電力会社との接続契約の締結が要件の1つになる。一定の猶予期間を設け、その期間内に契約締結できない場合、新制度に移行できず、結果的に現行の認定制度で取得した買取価格を維持できなくなる。これにより、設備認定を得ながら稼働しない滞留案件の一掃を狙う。

 2017年度以降の買取価格の決定方法に関しては、新たに「入札制度」と「価格低減スケジュール」が導入される。入札制は一定規模以上の太陽光発電、価格低減スケジュールは住宅太陽光と風力発電になる。ただし、入札制は、それにより買取価格が下がる見込みのある場合としているため、実際に実施するか否かは状況に応じて判断することになる。

 また、再生可能エネルギー電気の買取義務者を小売電気事業者から一般送配電事業者に変更する。一般送配電事業者が買い取った再エネ電気(FIT電気)は卸電力取引市場に出され、市場を介して流通することが基本となる。ただし、市場経由以外にも、小売電気事業者などに直接、引き渡すというルートも可能とする。

 電気を大量に消費する事業所に適用している「賦課金の減免制度」について、減免の要件と額を見直す。省エネの取り組みなどを確認し、それに応じて減免率を設定できるようにする。この変更に関しては、他の変更内容よりも早く、2016年10月1日から施行する見込みだ。

 今後の焦点は、新認定制度を取得するための接続契約締結の期限、住宅太陽光と風力の「価格低減スケジュール」の具体的な価格設定、入札制度を適用する太陽光の出力規模などになる。いずれも改正案の文面に記載がないため、委員会などを通じで決められる見通しだ。