「太陽電池を搭載した電気自動車(EV)は、利用パターンによっては年間で充電回数ゼロも達成可能」――。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のまとめた報告書からこうした可能性がわかった。

 NEDOは、「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」の中間報告書を取りまとめ、1月31日に公表した。これは、EVなどに太陽光発電システムを搭載した場合における温室効果ガスの削減効果を調査・検討したもの。

 NEDOでは、同委員会に先駆け、「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」プロジェクト(2015~2019年度)を立ち上げた。それによると、変換効率30%を超える高効率太陽電池が開発されれば、設置面積の限られた自動車に搭載して十分な動力用電力を供給できる可能性が示された。

 この成果を受け、「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」を2016年4月に設置し、太陽電池を搭載した自動車の実現による運輸部門の温室効果ガス削減効果などを調査・検討した。

 その結果、2050年に全ての次世代自動車(EV、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車)に高効率型太陽光発電システムを搭載した場合、CO2排出量削減効果は最大591万tと試算した。これは、2016年5月13日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」で2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すという日本の長期目標において、乗用車に期待されるCO2排出削減量6400万tの9%に相当する。

 また、太陽光発電システム搭載自動車は、「その利用パターンによっては、年間の充電作業回数をゼロとすることも可能である」との試算結果が得られた。同委員会では今後も検討を続け、太陽光発電システムの新たな市場創出、エネルギー・環境問題解決へのさらなる貢献を目指す。

「太陽光発電システム搭載車」を開発する意義
「太陽光発電システム搭載車」を開発する意義
(出所:NEDO)
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